お客がめがねを買うとき最初に考えることは「私、めがねが似合うのかしら!?」ということです。今やメガネはファッションアイテムの一つであると思っているユーザーが多いかと思います。
最近のトレンドはデジタル技術を利用しためがね似合い度を判定する方法です。特に、全国展開型低価格店のオンライン販売には必須ツールになっています。
では、地域密着型のめがね専門店はリアル販売だから必要ないのでしょうか?。それはノーです。お客のあらゆる要求に応えるためには、リアルとデジタルを統合した革新的な販売戦略を実現する必要があります。
本ブログでは、お客に似合うめがねを診断する5つの要素について説明します。
めがねの似合い度を決める5つの要素
めがねの似合い度をチェックするデジタル技術の現状は、リアルタイムでお客の顔をカメラで取り込み、フレームとレンズカラーを合成する方法が一般的のようですが、今後ますます進化していくと思います。
このバーチャル試着によるデジタルめがね診断を実現するためには3つの技術(お客の顔とデジタルフレームを合成する技術、デジタルフレームとレンズカラーを合成する技術、デジタルフレームを迅速に生成する技術)が必要です。このことは前回のブログ「【知って得する】めがね診断を充実させる3つのデジタル技術」で説明しました。
今回は、めがね似合い度のマッチングに必要な5つの要素について説明します。
1.基本となる要素
- 顔の適切な位置に合わせてお気に入りのフレームをセルフチェックさせる
- 適切なフレームサイズにおいてセルフチェックさせる
2.お客にワクワク感を与える要素
- お客をワクワクさせるフレーム選びを実現する
- カラーマッチング支援ツールでめがね似合い度チェックをレベルアップする
- 縁の太さで印象が大きく変わる!TPOを意識した販売を心掛ける

似合い度のマッチング
1.基本となる要素
めがねをカッコよく掛けるための基本的な要素として、めがねの位置とサイズがあります。フレーム試着では、この二つの基本要素が適正でないと快適性が損なわれたり、似合い度が大幅に低下してしまいます。
正しい顔の位置に合わせてお気に入りのフレームをセルフチェックする
お客に似合うめがねを提供する場合、顔の正しい位置にお気に入りのフレームを掛けてセルフチェックして貰うことが重要です。
人の容貌(頭の形、目鼻立ち、耳の位置、ヘアースタイルなど)は様々です。また、頭の形や鼻、耳の位置が左右対称(シンメトリー)でありません。
従って、同じデザインでも正しい位置に掛けてセルフチェックしないと自分に似合うかどうかを判断できないということです。
下図はめがねを掛けるときの正しい位置を示しています。めがねは、マユからアゴまでを3等分して、一番上の1/3の位置に合わせる。これが一つ目の試着条件になります。

フレーム位置の基準
めがね店でのリアル試着の場合は、お客が自由に試着できるように予め標準調整されています。また、店員のサポートを受けたり自己修正することができるので大きな問題はありません。
しかしながら、オンラインショップでのバーチャル試着の場合は、顔とフレームを自動的に合成されるので適正な位置で試着できるようにサポートしてあげる必要があります。以下は、不適切な試着状態を示しています。

フレームが下がっている

フレームが上がっている

フレームが傾いている
問題あるフレーム試着状態
適切なフレームサイズにおいてセルフチェックさせる
お客に似合うめがねを提供する場合、顔に最適サイズのフレームを掛けてセルフチェックして貰うことが重要です。
適切なフレームサイズは、フレームPD(以下、FPDと略す)によって決定します。一般的には、瞳孔中心間距離(Pupillary Distance、以下PDと略す)に対してFPDが最適値0から6㎜以内に収まる範囲で選択してあげることが多いようです。

適正なフレームサイズ

大きいフレームサイズ

小さいフレームサイズ
最適なFPDの選び方

もう少し詳しく説明して欲しいんだけど!?😒



それについては、私のブログ「【知って得する!】似合うめがねを選ぶときの3つのポイント」に詳しく書いたからそちらを参考にしてね。
2.お客にワクワク感を与える要素
お客にワクワク感を与える要素は、何といってもフレームデザインです。最近ではファッションアイテムとして対照デザイン(めがねを掛けたイメージを強調する方法)への訴求性が強くなりつつあります。また、形状だけではなくカラフルな色や縁厚が太めのセルフレームなどへの訴求性も強いようです。
お客をワクワクさせるフレームサイズの選び方を構築する
お客をワクワクさせる理想的な方法は、リアルなフレームを試着してもらい質感、軽さ、装着感などを実感して貰うことだと思います。しかしながら、すべてのお客に対して満足して貰うことは物理的に不可能です。
従って、この理想に限りなく近づけるためにはリアルとデジタルを統合した革新的な販売戦略を実現することです。現在、バーチャル試着によるめがね似合い度チェックはオンラインショップで活用されていますが、これは地域密着型めがね店でも十分に活用できます。
例えば、お店のフレームをデジタル化し、カラーレンズと合成することで容易にめがね似合い度チェックを実現することができます。
自店にないフレームは、これまでのカタログ対応から取引メーカーや卸店のフレームをデジタル化することでめがね似合い度チェックを実現することができます。
オンラインショップは、お客に対して店員がアドバイスしながらフレームやカラーなどの選択をサポートすることでめがね似合い度チェックを実現することができます。


リアルとデジタルを統合した革新的な販売戦略


同系デザイン


中差デザイン


対照デザイン


正面顔


斜め顔
フレームの似合い度チェック
カラーマッチング支援ツールでめがね似合い度チェックをレベルアップする
お客のファッションスタイルは多種多様です。カラーマッチング支援ツールを活用することで、より高度なめがね似合い度チェックを実現することができます。
お客のファッションスタイルを決める要素は、顔の形、 眉毛の形、虹彩の色、髪型や色、肌の色、フェイスメイクなどがあり、それぞれに幾つかのタイプに分類できます。例えば、顔の形は4タイプで説明されることが多く、眉毛の形は3タイプに分類されることが多いようです。
このようにファッションスタイルを決める6つ要素をタイプ別に分けて組み合わせを計算すると少なくとも1000以上の組み合わせになり、ファッションコーディネータの役割がより重視される時代になってきました。ここでは二つの支援ツールを紹介します。
一つ目は、フレームのカラーに対するマッチング支援ツールです。このツールは、フレームの質感を損なわずにお客の顔に様々なタイプのフレームを合成してどの色が最適かをカラーマッチングするものです。
このツールの最大の強みは、お客の肌や髪の色、フェイスメークに対してカラ―マッチング技術によるファッションコーディネートを直接サポートすることが可能になります。
下図は、お客の顔に一つのフレームを合成し、フレームの色感覚(色相、明度、彩度)を変化させてみたものです。


オリジナル






色相






明度






彩度






無彩色
フレームのカラーに対するマッチング
フレームカラー診断(動画_3m)
二つ目は、めがねコーディネートの最終段階でお客のファッションスタイルとめがねを総合的にマッチングする支援ツールとしての役割があります。
好みのカラーフレームにマッチするレンズカラーを選択する場合、リアルなレンズカラー見本とデジタルカラーレンズの両方を用いて実施しますが、最終的な決定はカラー見本で行います。



どうして!?😒



バーチャル試着の場合、デジタルカラーレンズは無限に創出することができるけど、現実世界ではメーカーのカラーレンズ見本に限定されているからね。
お客はレンズカラーの要望についてはシビアだから、特に丁寧な対応が必要だよね。




バーチャル試着によるめがねの似合い度チェック
こちらについても、既にブログ「【知って得する】めがね診断を充実させる3つのデジタル技術」で詳しく説明しました。
フレームの縁厚で印象が大きく変わる!TPOを意識した販売を心掛ける
フレームには縁ナシから縁厚の細いものから太いものまで様々ですが、この縁厚の違いで印象が大きく変わります。従って、お客の要望を確認しTPOに沿った販売を心掛ける必要があります。
最近のめがねトレンドでは、縁厚の太いフレームやビンテージ風デザインが人気を集めています。しかしながら、顔が小さい方や細見の顔立ちの方には自然な感じが損なわれ重く感じられる印象を与えます。
また、フレームの縁厚が太くなるほどカジュアル感が強くなることから、ビジネスを含めフォーマルなシーンではやや強すぎる印象になるので注意が必要です。
下図は、ラウンドフレームの縁厚の太さを比較したものですが、縁厚が増すほどボリューム感が出てくるのでインパクトが大きく変化していくのが判ります。


細身


小太


中太


極太
縁厚の違いによる印象変化
下図は、縁厚が太いカラーのラウンドフレームに濃度30%のカラーレンズを入れて比較したものです。縁厚をカラーにしたり、レンズに色を入れることで全体の雰囲気を柔らかくすることも可能です。


べっ甲色系


グリーン系


ワインレッド系
太いフレームに濃度が30%の無彩色レンズを入れた場合


べっ甲色系


グリーン系


ワインレッド系
太いフレームに濃度が30%の同系色レンズを入れた場合
めがねの似合い度を決める5つの要素|まとめ
1.基本となる要素
- 顔の適切な位置に合わせてお気に入りのフレームをセルフチェックさせる
- 適切なフレームサイズにおいてセルフチェックさせる
2.お客にワクワク感を与える要素
- お客をワクワクさせるフレーム選びを実現する
- カラーマッチング支援ツールでめがね似合い度チェックをレベルアップする
- 縁の太さで印象が大きく変わる!TPOを意識した販売を心掛ける
今回の記事では、お客にワクワクするめがねを提供するために必要なの5つの要素について紹介しました。
眼鏡作製技能士にとって「よく見えるめがね」を提供するのは当たり前のことです。お客はそこに大きな期待はしていません。
めがねはファッションアイテムの一つとしてとらえられている時代です。めがね店に求められることはお客にワクワク感を与える似合うめがねを提供することです。
バーチャル試着によるめがねの似合い度をチェックはこれをサポートする技術です。オンラインショップでは一足早く導入していますが、これらの技術は地域密着型めがね店でも十分に活用すべき技術です。
デジタルめがね診断ソフトはそれを実現するためのツールです。特に、迅速性、リアリティ、ワクワク感を考慮して開発、販売しています。興味のある方は、是非コチラまでご連絡下さい。
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