この十数年、めがね専業店やボランタリーチェーン店などの地域密着型めがね店は、かたやジンズ、ゾフ、眼鏡市場などの全国展開している「超低価格販売店」に翻弄されてきた。そして、自らもその対抗戦略として「低価格商品のセット販売」で応戦してきた。
こんな話、聞いたことがありませんか!
でも、この対抗戦略は正しかったのでしょうか?
お客が求めているものはただ1つ、事前に総額が分かるめがねが欲しいのです。高いめがねとか、安いめがねを買いたいのではありません。事前に総額が分かるめがねが欲しいのです。
では何故、お客は安いめがね店にいくのでしょうか? それは、すべて事前に総額が分かるめがねだからなのです。
本記事では、地域密着型めがね店やボランタリーチェーン店でもすぐにできるフレームの価格問題を解決する5つの対策をご紹介します。
地域密着型のめがね店がとるべき5つの価格対策!
- アイケアからアイウェアへ、少し軸足をずらす
- 適正なセット価格販売システムを導入する
- 超低価格店と地域密着型専業店の競合ゾーンで差別化を図る
- セット価格販売システムに加減算制度を導入する
- 店頭にめがね一式のセット価格案内の見える化をする
アイケアからアイウェアへ、少し軸足をずらす
これは、価格対策を行うための前提条件です。下の二つのグラフは、hitononayami.comが調査した記事から抜粋させて頂きました。調査期間は2021年5月から6月、調査方法はオンラインアンケート、有効回答者数は500名となっています。
二つのグラフから読み取れることは、お客がめがねを作るときは視力補正が大半ですが、買うときには品揃えが豊富なめがね店に行くということです。
これが、地域密着型めがね店が苦戦している原因です。
エェッ、どういうこと!😒
現在、日本国内にあるめがね店の数は約11000店舗あって、全国展開するジンズ、Zoff、眼鏡市場などの1プライス、3プライス店(超低価格店)、パリミキ、愛眼などの大手チェーン店(高級志向店)、そして地域密着型のめがね店(ボランタリーチェーン店を含む)があるよね。
そうだね😒
2023年度の国内小売市場規模は5054億円だったらしいけど、ここ十数年その大半を全国展開している超低価格店と大手チェーン店で占めている状況が続いているんだ。
2極化してる!、寡占化している!😒
そうなんだよ。全国展開している超低価格店と高級志向店で2極化し、地域密着型のめがね店の入る余地が小さくなっているんだよね。
何故そうなったの?😒
現在、めがねの主戦場はアイウェアのマーケットであることは、第1回の品揃え対策で話したよね。
うん。😒
下の図をみてごらん。これは縦軸をアイケアとアイウェアとし、横軸を低価格と高価格にして3つのめがね店の形態をそれぞれポジショニングしてみたんだよ。
どういう風に解釈すれば良いの😒
そうだね(笑)。簡単に言うと、全国展開している超低価格店や大手チェーン店は両方ともアイウェアのマーケットを抑えつつ、価格帯でしっかりとすみ分けされているよね。
そういわれると、確かにそうだね😒
これに対して、地域密着型のめがね店はアイケアのマーケットに軸足があり、アイウェアのマーケットへの対応が不十分であるとしか言いようがない!
だから、お客はアイウェアを主戦場として展開している超低価格店や大手チェーン店に足を運ぶんだ😁
ひょっとして、地域密着型のめがね店ではお客の足が遠のいているから、機会損失が生じていない!?😒
その通り!戦う以前の問題だね。
じゃ、地域密着型のめがね店はどう対策すれば良いの?😒
次の図を見てごらん。この図は地域密着型のめがね店の立ち位置を少しアイウェア側に引き伸ばし、価格帯も超低価格店と大手チェーン店の中間に移動したんだよ。
こうすると何が良いの?😒
お客のめがね店の選択肢を増やすことで、安い高いの2極化ではなく予算に合わせた買い物ができるようになる。
地域密着型のめがね店は、このポジションを確立すれば儲けそこなうといった機会損失がなくなると思うよ。
そうかぁー。まさに「天下三分の計」だね。😂
適正なセット価格販売システムを導入する
お客は、単に安いめがね店で買い求めているわけではなく、事前に総額がわかるめがね店で買いたいと考えています。
また、ジンズ、Zoff、眼鏡市場などの1プライスや3プライスなどの超低価格帯によるセット販売はお客に受け入れられています。
しかしながら、お客にとって重要なことは事前に総額がわかるめがね店の選択肢が増える事です。ここに地域密着型のめがね店が復活するヒントがあります。
下の二つ図は超低価格店、地域密着型のめがね店、大手チェーン店の価格帯のすみ分けを表したものです。
確かに、このようになればお客がめがね店を選択する幅が広がるね。😊
そうだね。お客のためになることをやることが大事だと思うよ。
超低価格店と地域密着型専業店の競合ゾーンで差別化を図る
どうして超低価格店と地域密着型のめがね店の競合ゾーンで差別化が重要なの😒
この境界が崩れると、また元の2極化に逆戻りしてしまうからね。
どうして超低価格店と地域密着型のめがね店の競合ゾーンで差別化が重要なの😒
超低価格店の弱みを分析して、そこを強化すれば良い。
弱点!? わからないなぁー😒
じゃー、もう少し具体的な話をするね。
超低価格店はSPA(Speciality store retailer of Private label Appare)というビジネスモデルで製造小売業と訳されている。アパレル業界のユニクロが有名だけど、めがね業界ではジンズ、Zoffなどがいち早く導入しました。
じゃー、このSPAというビジネスモデルはめがね業界でも通用したんだね。😁
一応ね。
エェッ、まだ何かあるの?😒
そうだね。SPAというビジネスモデルにもデメリットがあるからね。
何々😁
大きな問題としては、アイウェアの市場はどちらかというとフレームデザインのバリエーションが重要であり、単調デザインの大量生産品になるとお客は嫌がる可能性が高い。
視覚検査にはそれなりの時間が必要ですが、超低価格店は商品回転率が重要になるのでお客はそのサービスを受けられません。
特に、遠近両用めがね世代では、まだまだ成功しているとはいえない。
これら点に関しては、今のところ地域密着型のめがね店のほうが優位性が高いと思われます。
だから、境界ゾーンで優位に立つためには豊富な品揃え、高度な技術サービスなどを徹底的に強化し差別化することが重要になります。
そうかー、じゃ、地域密着型のめがね店には頑張って欲しいね。😁
めがね店の選択肢を広げることはお客とって良いことだもんね😁
セット価格販売システムに加減算制度を導入する
めがね一式価格に機能レンズへの変更に対する加算制度があるのは合理的ですが、。この方式をさらに発展させてめがね一式価格に対する加減算制度にしたほうが望ましいと思います。
例えば、
- 標準レンズを機能レンズに変更した場合==>めがね一式価格から価格案内に則って料金を加算する
- 眼科処方箋によるめがね購入==>めがね一式価格から視覚検査に相当する料金を減算する
- Fittingされていない持ち込みフレームによるめがね購入==>めがね購入価格にFitting料金を加算する
- 視覚検査なしでめがね購入==>めがね一式価格から視覚検査に相当する料金を減算する
といったことなどがあります。
このように、めがねを眼科処方箋や持ち込みフレームで作る場合、お客に不利益にならないような価格制度を検討しておく必要があります。
なお、この制度はめがね一式のセット価格販売と併せて行うことが重要で、お客に対して合理性を強くアピールする狙いがあります。
店頭にめがね一式のセット価格案内の見える化をする
2016年にお客が「どこからめがね店の情報を入手するか」を調査したアンケート調査(n数:412名)があります。
これによると、めがね店の情報入手先で最も多いのが店頭、その次が友人、知人、家族、その次がLINEとなっていま
過半数は店頭になっているね😊
そうだね。やはりお客はお店に足を運んでどんな品揃えかをみるんだね。
店頭ってどこ?店の入口?😒
これだけでは判断できないけど、一般的には、店の中で陳列棚やレジスターなどがあり、客に応対する場所のことをいうんだ。
そうなんだ。確かに店の入口で見ても大した情報は得られないよね😊
ところで、お店にはどういうふうに表示するの😊
色々な表示方法があると思うけど。取敢えずイメージをつかむために図と表を作ってみたよ。
右から時計まわりに5つの陳列コーナーがあって、単焦点と遠近両用のめがねセット価格で販売されるフレームが陳列されているんだ。
そして、それぞれの陳列コーナーには、下の表にあるようなめがね一式のセット価格案内の見える化をするんだよ。
今までの地域密着型めがね店によるめがね一式セット価格販売は、超低価格店への対抗策であって、お客にとってめがね店の選択肢が広がるという真のメッセージが反映されていない。
また、大切なことは超低価格販売店とは一線を画し、徹底した棲み分けを目指した適正な価格戦略をお客に示すことです。
地域密着型のめがね店がとるべき5つの価格対策!|まとめ
- アイケアからアイウェアへ少し軸足をずらす
- 適正なセット価格販売システムを導入する
- 超低価格店と地域密着型めがね店の競合ゾーンで差別化を図る
- セット価格販売システムに加減算制度を導入する
- 店頭にめがね一式のセット価格案内の見える化をする
ビジネスの世界では、自分の立ち位置を明確にして対処していくことが大切です。地域密着型めがね店は、お客に振り向いて貰うためにアイウェアのマーケットに軸足をずらさないと戦えません。
そのうえで、天下三分の計となりうる適切なセット価格販売システムを導入する必要があります。
また、超低価格店と地域密着型めがね店の競合ゾーンでは新しい戦いが起こります。SPAというビジネスモデルのデメリットを見極めて対処することがポイントです。
一般に、めがね一式価格販売では加算料金制度を導入しているが、めがねを眼科処方箋や持ち込みフレームでのめがね販売を想定すると加減算制度の方が合理的です。お客が不利益を被らないように対処する必要があります。
お客様に安心感を与える最も有効な手段は店頭での価格案内の見える化です。ポイントは、販売員が説明しなくても理解できるくらいに落とし込むことがポイントです。
私は、これまでのわたしのキャリアを活かして、地域密着型のめがね屋さんをサポートしていきたいと考えています。何か、お役に立てることがありましたら、こちらまでご連絡ください。
コメント
コメント一覧 (2件)
[…] なお、解りやすい価格表示については、【第2回】目指せ!おすすめ眼鏡店|今からでも遅くない【価格編】の中に「地域密着型のめがね店がとるべき5つの価格対策!」として下記の内 […]
[…] の2つをセットで検討することです。これについてはこちらのブログも参考にして下さい。 […]